実習日誌には「ねらい」を書くパートがありますよね。
※実習先から指示があれば従ってください。
以上3つのポイントを押さえるだけで「ねらい」を決めるのが楽になります。
以下の本文では、「ねらい」についてかなり掘り下げてお話します。
「実習を意味のあるものにしたい!」
「保育をもっとよく理解したい!」
と思う人向けの内容。お付き合いください。
実習の成功は「保育」にかかっている
保育実習の成功⇔失敗は、どうやって決まるのか?
もっとも大きな要因は「保育がうまくいったかどうか」。
・先輩に叱られなかった
・礼儀正しく、しっかり挨拶できた
・遅刻や提出物の遅れがなかった
これらは単なるおまけ。
社会人としてのマナーを身につけるのが目的なら、保育実習でなくアルバイトに行けばいいと思います。
・「ねらい」が適切→保育がうまくいく(実習成功)
・「ねらい」が不適切→保育がうまくいかない(実習失敗)
という傾向があるのです。
「ねらい」と「目標」の違い
実習を成功に導く「ねらい」の例について考える前に、まずは言葉の意味を共有しましょう。
ほとんど同じ、だけど…
実習日誌で使うだけなら、「ねらい」と書こうが「目標」と書こうが困る人はいないはず。
「○月△日の保育のねらいは~」→OK
「○月△日の保育の目標は~」→OK
正確には別の言葉ですが、区別しなければ保育実習の単位がもらえない、なんてことはありません。
いくつかの「ねらい」をクリアしていくことが、最終的に「目標」達成に繋がるイメージ。
細かく見ていきましょう。
「ねらい」=「能力」?
まず「ねらい」ですが、これは幼稚園教育要領第2章を読むとわかりやすいです。
この章に示すねらいは、幼稚園教育において育みたい資質・能力を幼児の生活する姿から捉えたもの(後略)。
まとめると、「ねらい」とは「育みたい能力」。
幼稚園教育要領※の「5領域」それぞれに「ねらい」があります。
※「保育所保育指針」・「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」と読み替えて差し支えありません。
先ほどの図だと
黄・緑・青が各領域の「ねらい」。
「目標」=「ゴール」
対して、「目標」は壮大なイメージ。
「ねらい」の集大成ですから、スケールが大きくなるのは当たり前ですね。
幼稚園教育の「目標」については学校教育法を読むといいです。
長いため、一部だけ抜き出してみましょう。
☑ 健康、安全で幸福な生活のために必要な基本的な習慣を養い~
☑ 自主、自律及び協同の精神並びに規範意識の芽生えを~
☑ 身近な社会生活、生命及び自然に対する興味を養い、それらに対する~
ちなみに、保育実習の目標設定についてはこちら↓でお話ししています。
リンク記事をごく簡単にまとめると、こんな内容です。
↓ ↓ ↓
☑ 子供が自分自身の意欲を形に表せるよう援助しよう
☑ 意欲が午前中いっぱい続くよう工夫してみよう
保育実習を成功させるための「ねらい」
保育実習を成功させるためには、どんな「ねらい」が必要なのか?
- 正しいねらい
- 具体的なねらいを立てるための考え方
- 避けるべき例
はっきりさせていきましょう。
「ねらい」の「正解」はコレ
正しい「ねらい」は何か?答は簡単です。
先ほどもお伝えしたように、「ねらい」は法令で定められていますからね。
幼稚園教育要領を引いてみましょう。例えば「健康」領域の「ねらい」は…
(1) 明るく伸び伸びと行動し、充実感を味わう。
(2) 自分の体を十分に動かし、進んで運動しようとする。
(3) 健康、安全な生活必要な習慣や態度を身に付け、見通しをもって行動する。
(1)~(3)のねらいを達成する=子供が(1)~(3)をできるように援助する必要があります。
「決まりに従うなんてカッコ悪い!」
「何にも縛られず、目の前の子供のために保育したい!」
そんな「熱い」思いの人がまれにいますが、もしかすると条文を読んだことがないのかも?
幼稚園教育要領(保育所保育指針・幼保連携型認定こども園教育・保育要領)には、子供の生活を縛る要素はありません。
自主性・自律性・自己肯定感を保障するものですので、よく読み、「ねらい」を考えるために役立てることをオススメします。
具体的な「ねらい」を立てていく
幼稚園教育において指導すべき具体的な方向を捉えながら、幼児の実情や地域の実態などに応じて、幼稚園は具体的なねらいや内容を組織することが必要である。
のように、「状況に合わせて具体的なねらいを立てましょう」と示されているんです。
保育者(あなた)が、子供の実情に合わせて「ねらい」(+ねらい達成のための「内容」)を考えるのです。
実習日誌に掲げる「ねらい」は1つ
(実習園によっては2~3つ?)。
ただ、Aちゃん・Bちゃんの中に「育みたい能力」がまったく同じであるはずはありませんよね。
だから、観察実習で把握した子供一人ひとりのようすを思い浮かべるんです。その上で具体的なねらいに落とし込みましょう。
こんな「ねらい」と指導は禁止
「ねらい」≒「育みたい能力」なので
のですが…、実は…
幼稚園教育要領解説には、このように書かれています。
幼稚園教育における領域は、それぞれが独立した授業として展開される小学校の教科とは異なるので(中略)、特定の活動と結び付けて指導したりするなどの取り扱いをしないようにしなければならない。
1つの保育場面だけで「ねらい」を達成しようとするアプローチは禁止、ということ。
例えば健康領域のねらい(3)(「健康、安全な生活必要な習慣や態度を身に付け、見通しをもって行動する」)の達成のため、どんな保育をするか?
実習生はこう書いてしまいがち。
お気づきの通り、これは問題です。
「○○できるようにする」ために子供を強制的に動かそうとしているからですね。
このような考え方はどうでしょうか。
子供の遊びを援助する中で、自然な会話の中で「私、なんだかおなかが空きました」などと発言してみる、ということです。
細かいシチュエーションは話しません。無限に広がってしまいますから。
「ねらい」の書き方(まとめ)
☑ 実習成功のカギは保育力向上。そのために「ねらい」が重要
☑ いくつかの「ねらい」先に「目標」達成がある
☑ 正解となる「ねらい」をもとに具体的「ねらい」を立てる(「禁止事項」に注意)
という内容でした。