保育実習で絶対に失敗したくない!という方に、実習の「目標」についてお話しします。
実は、目標設定があまりに「マニュアル通り」だと、実習で大失敗するおそれがあるんです…。
初めに「保育って何?」という大きな問題について考えます。
次に、子供・あなたにとって最善の「目標」を立ててみましょう。
保育って何?
実習の目標を考える前に…
外せないポイントはありますが、さまざまな表現があっていいと思います。
あなたの実感をもとに、あなたのことばで説明できるようになってください。
何となくのイメージは「一発退場」?
「保育って何ですか?」という質問に答えられない人は、実習で成功できないでしょう。
サッカーを知らない人が「何となくのイメージ」だけで試合に臨んだとしたら?
得点できないどころか、手でボールを運んでしまうかも?
このように、「何となくのイメージ」でサッカーをしたらレッドカード。退場です。
・一緒に遊ぶのが保育?
・ピアノを弾くのが保育?
・礼儀を指導するのが保育?
保育実習で「一発退場」はありませんが、そんな実習は成功とは言えませんよね。
そして、あなたは実力が身につかないまま担任になり、何もわからないまま保育をするはめに。
それはイヤですよね。だから
目標を設定してクリアするため、
自信を深めて担任を目指すため、
実習の前に「保育とは~」と説明できるようにしておきましょう。
言葉をはっきりさせ、行動を変える
先ほどの例で言えば、「サッカー」という言葉が示す内容をはっきり理解すれば
☑ 11対11のチーム戦
☑ ゴールにボールを入れたら得点
☑ タックルは反則
などのルールに基づいて楽しく試合ができるでしょう。
言葉の意味を明確にするには「比較」が便利。そこで…
①養護
②保育
③教育
についてそれぞれ掘り下げ、違いを検討してみます。
※広い意味ではどれも似ていますが、あえて細かく分けます。「サッカーもバスケもスポーツだから同じルールでいい」は乱暴ですからね。
言葉の意味①養護
「身の回りの世話」という意味で使うなら「保育」より「養護」が適切です。
食事・排泄・睡眠時の世話などは保育園が低年齢児を預かる時の中心的な業務ですが、これが養護。
「保育」と重なる部分も大きいですが、養護の場合、とにかく目の前の安全・衛生を確保するという面が強いです(あえて分けるなら、ですよ!)。
「満足して食事を終わらせる」、「すっきりと排泄を終わらせる」のように。
平均的には、年齢が若いほど「養護」的な関わり方が大きなウェイトを占めます。
言葉の意味②保育
保育には「見通し」が欠かせません。
・絵本を読む→○○を育てたい
・製作をする→○○を育てたい
・鬼ごっこをする→○○を育てたい
「ある1つの関わりが子供の数日後、数か月後、数年後に何らかの影響を及ぼす」という「見通し」ですね。
「保育」にも「養護」と同じく「身辺的な世話」が含まれますが、「見通し」を欠いては保育とは呼べません。
言葉の意味③教育
「教育」にも「見通し」があります。この点で「保育」と似ています。
他方、教育と保育の相違点を挙げるなら「育てようとする能力が異なる」といったところでしょうか。
保育では「自ら設定した目的に向かっていく力」を伸ばします。
対して、教育が目指すのは「すでにある目的に向かっていく力」の獲得。
これらの関わり方の違いは、発達心理学の「発達段階」という考え方にぴったり当てはまります。
※別の記事で詳しくお話しする予定です。
要するに
幼稚園年齢(3~6歳くらい)の子供には「やりたいことが自分の中で巻き起こり、それに向かって遊び込んでいくのが嬉しい」という特徴が見られ、そこにアプローチするのが「保育」。
小学生年齢の子供の特徴である「自分の興味関心を反映した『世の中』のことを学び、そこで発揮する力を身につけていくのが嬉しい」という部分を捉えるのが「教育」。
ということ。
以上の話からわかるように、「保育」は主に幼児、「教育」は主に小学生以上の生活を表す時の言葉です。
保育実習を成功させるための目標
実習日誌にはどんな目標を書けばいいのでしょうか。
あなたが保育実習の「目標」を考える時、以下の2点を押さえるべきです。
①子供の中から出てくる意欲を伸ばす
②意欲が一定期間持続する
それぞれ補足します。
目標を考えるポイント①子供の意欲を伸ばす
①「子供の中から出てくる意欲を伸ばす」ことを考えて目標設定する時、注意してほしいことがあります。
外から与えられた遊びに意欲的に取り組むのは難しい、ということです。
あなたが子供達に「今日は○○遊びをします」と言った時、ものすごく積極的な気持ちになる人もいるでしょうが、「今はその遊びには興味がない」という人も必ずいます。
クラスが20人なら、おそらく10人以上が「今はその遊びに興味がない」状態でしょう。
意欲がない状態で先生が考えた遊びに取り組むのは、「言われたことを言われたとおりにやる練習」にすぎません。
「◯◯遊びをする」を実習の目標にするのは馬鹿げています。
目標を考えるポイント②意欲を持続させる
②「意欲が一定期間持続する」ように目標を考える時に気をつけるポイントは?
遊びの後で子供の中に残るものがゼロだったら、それは「保育」とは呼びづらいもの。
少なくとも午前中いっぱいは同じ遊びが形を変えながら続く、という状況を実現したいところです。
いずれにしろ、「子供の意欲が一定期間持続する」ことをイメージして目標に反映するんです。
☑ 誰がどのように遊ぶか
☑ 誰と誰がどう関わるか
そのような記述で実習日誌が埋まることでしょう。
目標を考えるポイント(その他)
かまいません。
ただ、あなたが行うのは「保育」実習です。「保育」以外のことを重視するなら実習の意味がありません。挨拶したいだけならファストフード店でアルバイトする方が身につきます。
保育実習では「保育」する上での目標があるといいですね。
保育実習の目標:まとめ
保育実習の目標を立てるための「見本」が、世の中にはたくさんあります。
教科書の言葉をツギハギすれば、とても見栄えのする「目標」になるでしょう。
拾ってきた「マニュアル通り」な目標には意味がないんです。
子供は「マニュアル通り」には動きませんからね。
保育と養護と教育の違いを理解し、「自分は保育をするんだ」という意識で考えてください。
あなたの実習を成功に導いてくれる「目標」が、きっと浮かんできます。