穏やかな
冬の朝。
北風さん お疲れなのか、
今日はお仕事を休んでいる。
ちょうどいいから、
朝からおいもを焼くことに。
はりきる子ども。
朝のお水は
小さいお手々に冷たすぎるので、
ぬるま湯で行う
おいも洗い。
一人ひとりの力は
小さいけれど、
心を合わせて
いっしょうけんめいにしていると
だんだん形になっていく。
だんだん、
だんだん、
焼きいもを食べる準備が
できていくのだ。
先生やお母さまたちの
いっしょうけんめいと
子どもたちのいっしょうけんめいが
一つに集まって、
だんだん、
だんだん、
心に描いた あの焼きいものようすが
現実になっていく。
たき火は「キケン」なため、
おまわりさんたちも
いろいろに気を配って
パトロールしてくれる。
たき火は
熱い!
熱くてたまらない!
そして煙い!
雲のような煙が立ちのぼる。
落ち葉が まだ木にくっついていた頃の
小鳥たちとの思い出が
雲になって
お空に還っていくように。
こんな時代に
土のお庭と
こんなにたくさんの葉っぱを
降らせてくれる木々たちがあることの
ありがたさを 思う。
あ、
あの時のどろだんごを焼いたのだ。
「食べられそうだね」と おまわりさん。
「あー、あったかい!」
「かたくなってるでしょ。
あそこで焼いたんだもの」
「へぇ、いいこと考えたねぇ」
おまわりさんに褒められて
嬉しい子ども。
おいもが焼けた。
ヒーローも お味見。
みんな ちょっとお味見。
「座っていただきましょうね」。
葉っぱで焼いたおいもは
ほくほくで
しっとりしていて
甘いのだ。
子どもとおいも って、
なんて似合うのだろう。
入園が4月で本当によかった と
いつも思う。
9月始まりだったら
こんなに落ち着いて
たき火ができないもの。
おまわりさんたちも
焼きいも休憩。
お仕事
いつもご苦労さま。
園庭のあちこちで食べる
焼きいも。
ここでも
ここでも。
ガソリンスタンドでも。
「ああ、あったかぁい」。
アイドルみたいと言われて
なぜかがっかりしている人も、
おいもは食べる。
ツリーハウスで食べるおいもは
格別だ。
園芸サークルのお母さま方も
「おいしい!」
「うーん、上手に焼けてる!」。
みんな 子どもとおんなじだ。
*イモレンジャー*のお母さま方も
嬉しそう。
ありがとう!ありがとう!
みんなありがとう!
いつとはなしに
いつでもしているのが
幼児の教育。
お母さま方と先生たちが
仲良く手を取り合って、
心豊かな人間を育てていこう―――!