目に見えない力が

大地に 春が動き出し

虫たちも 動き出す気配。


虫研究所の職員たちも 動き出す。

小学生のお兄さんたちが


幼稚園の子どもたちの

遊びの生活の 手助けをしている。

一人ひとり みんな違うのだけれど

一つの心、 同じ身体になったような

そんな空気が

お部屋中に漂っている。


昨日のカレー幼稚園の午後

大勢で遊んだ 砂場の続きも。

春の気配に誘われて


小さい人たちも お庭に出てきた。

小さい人たちは


年長さんたちとのお別れのことなど

きっとわからない。

だからいいのだ。

保育者たちだって

4月になったら

またきっと 毎日会えるような


そんな心情なのだから。


盛り上がる 砂場の仕事人たち。

小学生のお兄さんも 一緒になって

遊びのイメージを

広げたり深めたり。

こんなに大勢でも

小さい人がいても

イメージの共有ができるのは

お互い同士を知っているからだ。

大きい人が 小さい人に

それは今じゃなく 後でするんだよ。

などと 助言している。


保育者は

こうしたらきっと もっとおもしろくなると


いろいろな素材を用意している。

保育者も 子どもになって一生けんめいだ。


小学生のお兄さんは

「幼稚園はすごく疲れるけど すごく楽しい」と

おうちで話しているそう。

心(=頭)も身体も 主体的に動かし

持っている自分の力を精一杯使って

生活するのだもの。

お兄さんとして 保育者側の立場で

小さい子どもたちのお世話をするのだもの。

達成感を味わって

心地よく疲れるから

最初のあの日

帰宅後まもなく お昼寝したのだろう。

お兄さんの寝顔は

生きる力に満ちていることだろう。


年長山さんたちは 明日最後のお弁当。

そんなことを知って知らずか

成長の喜びに輝いている。

この子どもたちの心身にも

生きる力がしっかりと

育っているに違いない。

目には見えない 貴い力がーーー。