大地を潤す
春の雨。
上がるまではお部屋で遊ぼう
と思うのに、
いつも夢中になってしまう、
雨上がりを知らない子どもたち。
海さんたちは、
そろそろ
お別れ会のことを考えている。
「何やりたい?」
「ぼく♪ブレーメンが好き♪」
「♪ぶんぶくちゃがま♪もおもしろいよね」
「♪宇宙のお城♪は絶対やろうよ」。
そういうわけで、
決めかねているようだ。
何をするにも
楽しくてたまらない
海の組。
川の組。
みんなで
お部屋を
春にする。
もうすぐ啓蟄だもの、
虫だって顔を出す。
あっ お魚も!
池の組も
お部屋で仲良く遊んでいる。
♪ぶんぶくちゃがま♪は
おもしろい。
ブロックや積木を使って
お友だちと工夫するのも
おもしろい。
恐竜さんのお家では
朝ごはんの いい匂いが。
あ、
今度は♪ブレーメン♪。
おもしろいから
つい見入ってしまう。
音楽劇は
本当におもしろい。
いくらおもしろいからといって
こんなにロングランになるのは
なぜなのだろう。
子どもが日常に経験する
いろいろな感情を、
リズムやメロディーによって
掻き立てられたり、
癒されたりするからだ。
自分ではない生き物になって、
自分を開け広げて表現できるからだ。
お話の世界で、
お友だちと一緒に、
心も身体も思いきり動かして、
充実感を味わう。
だから
他のごっこ遊びと同じように
いつまでだって
続くのだ。
川さんたちも
ごっこ遊び。
ごっこを もっとおもしろくするために
いろいろなものを作る。
お互いの遊びのイメージが
明確化されるのだ。
海さんたちは
♪ぶんぶくちゃがま♪を始めた。
一人ひとりが
お別れ会を楽しみに
しているのだなぁ。
去年は川の組で参加した
お別れ会。
1年は短い。
あっというまだ。
この1年で、
子どもたちには
大きな成長があったけれど―――。
尽くしても尽くしても
尽くしたりない気がする
春雨傘の幼稚園―――。