間接的な指導

“お江戸日本橋”から始まる 月曜日の朝。

運動会のお母様たちのリズムが

耳に身体に 沁み込んでいるらしく

子どもたちの鼻歌にもなっている“お江戸”。

日本の民族舞踊だもの。

ちょっと難しいけれど マスターしようと

お母様がたが熱心に取り組んだ。

“和”のかっこ良さを感じるらしく

子どもたちも踊りたい。

そしてその踊りは お母様がたを凌ぐほどだ。

教えられもしないのに

教えられないからこそ お母様の身のこなしを

しっかりと観察学習していたのだ。

目も耳も頭も 身体中全て使って!

“和”のものといえば“春の舞扇”。

お江戸は男踊りだけれど

こちらは女性的だ。

日本的な旋律が きっと新鮮なのだろう。

踊りだすと もっともっと踊りたくなる リズムの不思議。

運動会のオリンピックマーチの

あの感動を また味わいたい。

大きい人たちは 皆の動きを揃えたい。

ピッタリ合った時に

「あ、今みんな合ったね!」と

小さい人たちに声をかける。

合わない時に「合ってないよ」と言わずに

合った時 褒める。

保育者たちの言動が

知らずしらずに 年長さんたちの

身についてきているのだ。

なんとありがたいことだろう。

運動会といえば

大好きな はとぽっぽ体操。

こんなに楽しくおもしろく

幼児たちの心身を育ててくれる体操が

他にあるだろうか。

戸倉先生 服部先生 堀合先生に 感謝。

大きい人たちの真似をしたい

小さい人たち。

創造性は 真似から育つ。

葉っぱたちが 母木を離れ

旅をする季節は

人間の子どもたちにとっても

園生活の充実期。

イメージを広げたり

深めたりしながら

心も身体も 思いきり使い

自分を伸ばす季節だ。

自分の持っているイメージを

一人ひとりが 形にしたい。

一人ひとりが 自分の目的に向かって

一生けんめいしていると

その一生けんめいが お友達の心を動かす。

心が動くと身体が動く。

自分も仲間になって イメージを形にしよう

同じ目的に向かって

達成するまで頑張ろうと

おたがいどうし 同志になる。

同じ志を持つのだ。

幼稚園の遊びの生活には

同志が欠かせない。

自然発生の同志が多いけれど

保育者が“お友達を使う”こともある。

保育者が直接指導するよりも

間接的なほうが 子どもの頭を受け身にしないからだ。

母たちの踊りが

子どもたちの心と身体を動かすようにーーー。