
「高階幼稚園の保育は、モンテッソーリ教育に似ていると思う」
といった声をよくいただきます。
当園としても「確かに似ている部分がある」と考えています。
そこで、このページでは
- モンテッソーリ教育とは?
- 高階幼稚園が大切にしていることは?
- 何が似ているの?
の3点について解説。
園選び・園生活の役に立つよう、内容を工夫しますね。


モンテッソーリ教育とは?(大まかな情報)
女性医師で、教育家としても有名なマリア・モンテッソーリという人がいます。
祖国イタリアの紙幣の肖像にもなった彼女による教育法が「モンテッソーリ教育」。
アメリカ合衆国大統領を務めたオバマ氏が修めた教育法でもあるとか。
「教具」を使用することや「敏感期」の考え方も有名ですね。
「発達の捉え方が一面的である」といった批判※もありますが、熱心な支持者が多いです。
※ 例えば、岡本和子「キルパトリックのモンテッソーリ批判(ⅱ)」(岡山県立短期大学紀要, 1991)



肝心の中身は?
「モンテッソーリ教育とは何ですか?」。AIに尋ねたところ、その定義は…
子どもが自ら成長していく力である「自己教育力」を信じ、その力を引き出すための環境を用意することで成長を促す教育方法です。
とのこと。
では、モンテッソーリ教育の目指すものは?
日本モンテッソーリ教育綜合研究所の説明を参照しましょう。
モンテッソーリ教育の目的は、「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てる」ことです。
いくつかの情報を統合すると、モンテッソーリ教育は「環境を整え、子どもが主体的な生活に没頭できるよう努める教育法」といえそうです。
モンテッソーリ教育に関する論文を読みながら、もう少し掘り下げてみましょう。
モンテッソーリ教育とは?(論文を参照します)
モンテッソーリ教育は関連研究が盛ん。
ここではその中の1つ、お茶の水大学GLS研究所の高橋節子先生による論文を紹介します。「子どものための物理的環境とは何か~モンテッソーリ教育の場合~」です。
モンテッソーリの教育スタイルを解き明かした力作。


この論文で著者は、モンテッソーリが重視した「物理的環境」の観点から、モンテッソーリの子ども観を次の6つに分類し、それぞれ考察しています。
≪モンテッソーリの子ども観≫
①子どもは発達する
②環境との相互交渉が大切
③生まれながらの発達の計画がある
④発達する自由が不可欠
⑤集中することで本来の性質が表れる
⑥大人とは発達の仕方が異なる
高橋氏によれば、すべての物理的環境は以上6つの「子ども観」を支えるためにある、とモンテッソーリは考えていたとのこと。
極めて乱暴にまとめるなら、モンテッソーリ教育はやはり「環境を整え、子どもが主体的な生活に没頭できるよう努める手法」、と考えてよさそうですね。
高階幼稚園が大切にしていることは?
一方、当園が目指しているのは、保育理念のページでもお伝えしている次の3つ。
- 子どもの目的力を伸ばす
- 相互主体性の中で保育する
- そのような生活を反復する
それぞれ簡単に説明しましょう(詳しくは保育理念のページをお読みください)。



まず「目的力」について!
目的力とは「意欲的に、工夫して、あきらめず、協力して遊び込む力」のこと。
特に3歳以降は、認知機能の発達にともない、「今」が「未来」へ繋がっていくもの。また友達関係も広がります。
そんな状況で遊びをおもしろくするには「工夫」がいります。
たくさんの失敗もつきものですから、「あきらめず」前を向く必要もあるでしょう。
そして、友達との複雑な「協力」があってこそ遊びが深まりますよね。
そもそも自らの「意欲」なしには遊びが始まりません。
幼児にとって「意欲的に、工夫して、あきらめず、協力して遊び込む力」、つまり目的力は、食事や呼吸と同じくらい大切なのです。





次に「相互主体性」とは?
目的力を育てていくには大人の援助が不可欠です。
そこで登場するのが相互主体性。
大人が見守るばかりだと、遊びは「方向性」を失いがちです。
大人としての良識や判断力を保ったまま、先生が「子どもになる」イメージで保育することが欠かせません。
もちろん、先生が活動の内容や進め方を決めてしまえば、子どもは受け身になるばかり。
大切なのは後になったり先になったりするバランス。子どもの意欲を感じ取って後押しし、適切な援助で遊びの広がりに貢献するのです。
子どもと先生が共通の遊びの深まりへと二人三脚で向かう、それが相互主体性です。



最後!「反復」の意味は?
とても簡単な話。
相互主体的な生活を通して、目的力を発揮していく…
そういった生活を反復することが大切す。
身体であれ心であれ、能力を伸ばすには「繰り返し」が必須ですから。
例えば、スポーツの上達には毎日の練習が不可欠ですよね。週に3日だけ練習し、他には何もせずプロを目指す、なんてことはありえない話。
ある日は遊びに没頭するけれど、別の日は先生の指示に従ってお勉強、などというちぐはぐな生活では、目的力の発達は実現しません。
大切なのは繰り返し・反復なのです。
何が似ているの?(このページのまとめ)
ここまででわかったのは、以下のようなことでしょうか。
モンテッソーリ教育では



環境を整え、幼児が主体的な生活に集中できるよう努める。それによって人間性の形成を目指す。
高階幼稚園の目指すのは



相互主体的な生活を反復することで、目的力を伸ばす。
高階幼稚園の保育とモンテッソーリ教育が似ているかどうかは、見方によって変わるかもしれませんが…
子ども本来の力を信じ、内発的動機に基づいた生活により、必要な能力が身につくのを援助するという考え方は共通しているといえるでしょう。
ということで、このページでは、モンテッソーリ教育を掘り下げることで「幼児期に必要な生活とは何か?」について考えました。



園選び・園生活のお役に立ちますように!