目に見えない力

木曜の朝


通用門近くで見つけた カマキリの卵。

虫の王様 カマキリの卵だもの

絶対欲しいに決まっているが


あの卵の中から たくさんの赤ちゃんが生まれるのだ。

だから分けっこできると考えた 年長児。

虫好き仲間で 卵の共有をすることに決めた。

カゼでお休みしているお友達の名も

忘れず 書き記す。

字が書けるようになったことよりも

広い心の育ちを感じ 嬉しい。

その心を 字で表すことができるのだもの

子ども自ら どんなに嬉しいだろう。



世の中には

目に見えることばかり指導する教育家が多い。

子どもの中身を育てなければならないのだが

目に見えないところは

口で言っても育っていかないから 難しいのだろう。


幼児の育ちは 目に見えない。

愛情だって 目には見えない。

どんぐりとお水の遊びの 根気良さ。

心も身体も存分に使って 上機嫌だ。

入園前 お庭カフェでの

お母様とのやり取りを 思い出す。

お母様の根気良さ。

わが子が喜ぶ限り

子どもの手になり足になり

互いにいつも 大にこにこだった。

今ここに お母様はいないけれど

お母様がいるのとおんなじだ。

お母様との日常が


人間の根本を育てる。



けれど お家にお友達はいないから

こうやって 幼稚園で

お友達と共に

お互い同士 育ちあっていくのだ。

いいお顔のお友達同士が


お互いの教育環境。


そういえば 昔の幼児は

みんなにこにこしていたっけ。

いつの頃からか

スッとした表情の幼児が増えた。

時代の変化なのか。


母になる前の自分に戻って 仕事をしたい。


我が子と 一心同体になっている時間はない。

我が子の顔を見て


にこにこしている心の余裕はないのだ、きっと。

せっかく母になったのに

せっかく 母の子として生まれたのに


本当に それでいいのだろうかーーー。