幼稚園の柿の味

柿の木にとって 100歳は

おばあさんか おばさんか。

どちらかわからないけれど

柿の木母さんが


今年もこんなに 実をならせた。

柿の実色の 懐かしさ。


南側の実は もう完食してしまい

もっと食べたい子どもたちが

柿の実の収穫を 手伝う。

広げたシートで

枝ごと どっさり受け止める 充実感。


柿の実取りは おもしろい。


お手伝いは おもしろい。


お仕事は おもしろい。


柿の実をかじると


口いっぱいに 甘さが広がる。

幼稚園の秋の味だ。


無心にかじる。

秋をかじる。


柿の実と子どもの

なんとよく似合うこと。


大人の秋は なんとなくものさびしいけれど

子どもの秋は

明るい実りに満ちているのだ。



お花畑の子どもたちは

虫取りに 一生けんめい。

テラスの子どもたちは

柿の実に 一生けんめい。



あっ、柿の実に気づいた!

おいしいとも言わず


無言で無心な 小さい人たち。

こんなに喜んでもらって


柿の木母さんも さぞかし嬉しいだろう。

ありがとう 柿の木母さん。

ありがとう 子どもたちーーー。