幼児教育の肝腎

小ぬか雨降る月曜日。

大輪のボタンも

足元のエビネも 泣き顔に見えるのに

キノコたちは おしくらまんじゅうで楽しそうだ。


ここは 卒園した子どもたちが残していった

大キノコ農園の跡土地。

キノコ研究者だった卒園児たちがいたら

どんなに喜ぶだろう。

「おいしそうだけど 食べないんだよね」

「ドクかもしれないからね」

ケヤキには迷惑なキノコだけれど

子どもたちは かわいいキノコたちに興味津々。


森さんたちの 新しい生活。

新しい人が加わって

いろんな朝があるけれど

だからいいのだ。

保育者の親切や一生けんめいが

お部屋中の空気になって

いつのまにか一人ひとりが 一生けんめいになっている。

保育者は 子どもと一心同体だ。

保育者が子どもになって遊ぶ。

見つめる子どもも 遊んだつもりになっている。

保育者は子どもに乗り移ったり

子どもに乗り移られたりする。

そうしながらいつの間にか 知らずしらず

持って生まれた 一人ひとりの力が引き出され

柔らかく広い心が 育っていくのだ。


山さんたちも 新しい生活。


雨降りだから

お部屋でいいことを考えて


仲よく遊んでいる。

子どもそれぞれに 作りたいものがある。


作ったものを使って


イメージの世界で遊びたい


山の組の仲よしたち。



メロディーはなくとも 楽隊はできる。

指揮のタクトに調子を合わせ

自分たちでおもしろい音楽を奏でる。


さっき お手洗いに行った子どもが

きちんと戸を閉めて 出てきた。


ハンカチをたたんで

ポケットにしまい

袖まくりを 下ろしている。

お世話がきちんと身についているのだなあ。


楽しそうな山の組。

いいお顔の子どもたち。


大キノコ農園で採集した

キノコや化石の研究を始める 子ども。


それぞれの遊びが


それぞれの遊びと 影響し合い


楽しい幼稚園。


小止みになったお庭で

いいものを見つけた。

かわいい綿毛と

かわいい子ども。

かわいいほっぺ。

かわいいかわいい子ども。


かわいいかわいいかわいい 子ども。

こんなに無心な

こんなにかわいい 小さい人たちと

私たちは共にいるのだ。

なんとありがたいことだろう。

大切に大切に

大切に 育てなくては。


幼児教育の肝腎。


それは親切。

相手から求められる前に

その気持ちを汲み

休む間もない 気配りに

絶えず働く 目と耳と手足。

親切 それは深切。

深く 切なることーーー。