怒りと上手に付き合う方法【中編】

こんにちは。
ゆうた先生です。

おにわ通信をお送りします。

こちらの投稿(前編)

の続き。怒りと上手に付き合う方法【中編】です。

前編の振り返りは以下の通り。

  • 怒りは「毒」
  • 怒りは「近づきたい」心理
  • 願望が怒りに変わる
  • 願望には2種類ある

願望を上手に扱えば怒りは出てこない
一言でまとめるとそういうお話でした。

それでは続きをどうぞ!

無自覚な願望×2

感じられない(無自覚な)願望とは何か?
今回はこの話題から始めましょう。

ここを理解すれば、怒りの問題とはおさらば(死語)です。

さて、感じられない願望とは、一言で表すと幼少期に感じることを禁じられた願望

年齢については後ほどしっかり考えます。
とりあえず「幼少期=0~6歳」としましょう。

まず、0~6歳の人間はどんな願望を抱くのでしょうか?

先に答えだけ言いましょう。
大まかにいってこの2つです。

「いつも希望を感じていたい」
「自分の意志に基づいて生きたい」

食欲などの身体的なものを除くと、0~6歳の時期にもっとも注目すべき願望はこの2つ。

そして、禁じられた希望・意志の願望が感じられない(無自覚な)願望に変化していくイメージですね。

感じられない願望について話すため、先に希望・意志について大まかに解説します。

いつも希望を感じていたい

希望(Hope)は、もっとも初期の願望です。
「お腹すいた」「眠い」くらい根源的。

先ほども言いましたが、誰もが必ず抱く希望の願望は「いつも希望を感じていたい」という気持ち。

希望を育むには「いつも」が大切です。

赤ちゃんもさまざまな行動をしますよね。
食べる、寝る、声を出す、泣く、這う…。

どんな行動をしていようと、赤ちゃんは「いつも」希望を感じたいのです。

楽しく食事している時は養育者が笑顔で見ていてくれる。
しかし、ぐずっている時はイヤな表情になり、声をかけてくれない。

これでは「いつも」希望を感じられることにはならず、願望は叶いません。

どんな時も嬉しいと感じられる、あるいは気を取り直すことができるような関りが求められます。

自分の意志に基づいて生きたい

希望(Hope)の次に出てくるのが意志(Will)。
「自分の意志に基づいて生きたい」感覚です。

特に1~3歳くらいで表れてきます。

年齢を聞いて思い浮かぶのフレーズがありますよね。
そうです、「魔の2歳」「イヤイヤ期」など。

ここからもわかるように、1~3歳は「自分の意志に基づいて生きたい」のです。
決して「養育者を困らせたい」のでも「イヤ!と言いたい」のでもありません。

また、詳述する紙幅はありませんが、意志は抑え込んでも放っておいてもダメ。
大人の手助けによって上手にコントロールできるようになることが大切。

適切な意志を発揮できるようになることで満たされていく願望といえます。

願望が「禁止」されるケース

ようやく話が戻ってきました。
「感じられない願望」について。

幼い時期には誰もが希望・意志の願望を抱きますが、繰り返すように、願望を抱くこと自体を禁じられるケースがあります。

禁じるのは養育者。
必然的に、ほとんどが両親。

願望が禁止される状況を想像すると…

:生活のあらゆる場面で願望を感じる

:感情的に怒る不機嫌になる・暴力

:恐怖や不安を感じ、願望をなかったことにする

親が不機嫌になるくらいで「願望を禁止される」だなんて、言い過ぎでは?

と思う方もいるでしょうが、大袈裟ではないのです。

言うまでもありませんが、幼い子供にとって親は世界のすべて
気分の浮き沈みはおろか、生死までも依存している時期ですから。

問題は、幼児は願望を先延ばしにできないこと。

大人は、できます。
願望の先延ばし。

朝食時に愚痴を聞いてもらえなくても(=希望が叶わなかったとしても)、「夜に話せばいいや」と理性的に我慢できるでしょう?

家族との外食で好きな店を選べない場合も(=意志が実現しなくても)、「次は○○のお店を提案してみよう」と、先を見据えて待てますよね。

しかし、子供は願望を先延ばしにできません。
論理的に考える脳部位が未発達だからです。

食事や睡眠と同程度に不可欠である希望・意志の願望を、しかも自分の世界のすべてである養育者に、怒りや不機嫌によって否定される…。

こんなに苦しいことはありません。
生き地獄と表現してもいいくらいです。

栄養や睡眠時間と違い願望(≒心)は見えないので理解が難しいのですが…。

「希望・意志の願望が禁止される」の意味、お判りいただけると思います。

そして、今回の最重要ポイントはここから。
幼少期に禁じられた願望は、どうなるか?

「抑圧」され、「感じられない願望」へと変わっていくのです。

「ガマン」には2種類ある

願望が叶わない状況=我慢を2つに分けるとスッキリします。
大人の我慢と子供の我慢です。

先ほどの例を持ってきましょう。

大人の我慢:夫に愚痴を聞いてもらってスッキりしたいが、朝はお互い時間がない。仕方ないので夕食時まで話したい意志の願望を先延ばしにする

2歳児の我慢:自分でスプーンを持って食事したいが、散らかってしまうことで親がいつも不機嫌にるのが悲しく、また恐ろしい。そこで、自分でスプーンを使って食事するという意志の願望をなかったことにする

簡単に言い換えましょう。

大人の我慢は「先延ばしにする」こと。
子供の我慢は「なかったことにする」こと。

難しい呼び方はこうです。

先延ばし的な我慢=抑制(repression)
全否定タイプの我慢=抑圧(suppression)

ちなみに、子供も「抑制」をします。

しかし、とても苦手。
認知機能が未成熟だからですね。

「今は愚痴を我慢して夫の帰宅を待ち、その時に夫が疲れていなければまずは半分くらい話してみよう」にように論理的に考える回路が、まだできていないのです。

抑制と抑圧は似て非なるもの。
字面は似ていますが別物です。

そして、すでにお察しのように、この「抑圧」が問題。

幼児期の日常的な抑圧は、心理発達に大きな障害となることがあります。

とても短いまとめ

ここまで読んでくださってありがとうございます。

いったんまとめます。
今日の内容はこんな感じ。

・無自覚な願望とは
・基本の願望①希望
・基本の願望②意志
・願望が禁じられると
・2種類の「ガマン」

次回が怒りの話の最終回。

「抑圧」された願望が「感じられない願望」に変わっていくメカニズムを見ていきます。