カレー幼稚園のしあわせ

 

待ってた待ってた火曜日は

おいしいカレー幼稚園の日だ。

お料理サークルのお母様たちの

子育てで鍛えた腕が鳴る。

さじ加減や臨機応変も

子育てで学んだものに 違いない。

今日の充実へ向かって 一生懸命な母たち。

子どもたちも おいしいカレーを楽しみに

充実へ向かっての生活を 始めた。

牛若丸と弁慶。

山さんたちは 人形劇を始めるのか。

森さんたちは ヘビなのね。

大きい人たちの ヘビ研究所の影響か。

頭は紙。

身体はビニール袋に

油性ペンで着色している。

着物も作りたい。

これを着れば 牛若丸や弁慶になれるものね。

リズム遊びも 続いている。

大好きな♪ドレミの歌。

大好きな♪機械。

いろいろな動きの機械に

それぞれ意味づけするのも おもしろい。

一人やってきた その時から

保育が始まる幼稚園は

まだ 9時42分。

園バスがない幼稚園の 充実。

皆が集まるまで

1時間も待っていなくていいんだもの。

森さんたちは 山さんのお部屋へ。

大きい人たちの♪白雪姫が 見たい。

だって 危険生物研究所の

ヘビ使い Tちゃんが

お姫様なんだもの。

幼稚園はトクベツだから

おままごとのお家に

お母さんが二人いてもいいし

仮面ライダー1号が 何人いてもいいのだ。

もちろん 男の子が女の役をやっても

女の子が男の役をやっても 不思議はない。

変だなどという人は

誰もいないのだ。

子どもの世界は 柔らかい。

みんな そのものになりきって

表現していて すばらしい。

お客様たちも 一緒になって

心を動かしている。

一人ひとりが育ってきたのだ。

厨房からは おいしいカレーの匂い。

腕によりをかけたカレーの出来上がりだ。

カレー屋さんは 森の組へ。

もう待ちきれない 森さんたち。

「いただきます」

「おいしーい!」

そうなのだ。

こんなにおいしいカレーは

世界中どこへ行っても 食べられない。

だって 幼稚園のお母さんたちの

心がこもった 味なのだもの。

大切なかわいい子どもたちに

食べさせたい味を 作り上げた

昔々の母たちの愛情も

現役母たちの愛情も

たっぷり注ぎ込まれているのだもの。

山さんたちも 嬉しくてたまらない。

「ありがとう」

「いただきます」

ひと口食べるなり

「サイコー!」

あちこちから サイコーの声。

今は小学生のお兄さん

Sちゃんに見せたい場面だ。

カレー幼稚園のベテラン 年長さんたちは

「今日のカレー おいしいね!」

「今までで一番おいしい!」との感想。

嬉しいお母様。

カレー作りのお母様方は

いつだって最高を目指して

腕を振るっているのだから。

山さんたちは

自分たちの園生活の充実の味わいと

カレーの味わいが 重なって

コクのあるうまみを 感じているのだろう。

大好きなお母様。

大好きな幼稚園。

大好きなカレー。

「おかわり!」

「多めで!」ーーー。