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もし非認知能力が伸びないと…

非認知能力って何?で説明したように、非認知能力とは以下のようなもの。

[jin_icon_number1circle]世界を信頼できる力
[jin_icon_number2circle]気持ちを適切に表現できる力
[jin_icon_number3circle]とにかく遊び込める力

ワンフレーズで言い換えると…
[chat face=”kuma.png” name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]希望をもって、意欲的に目的に向かう力![/chat]

岐阜聖徳学園大学の西川正晃教授も、幼児期に育むべき非認知発達を「向かっていく力」と表現しています。
参照:学びの連続性を踏まえた保幼小の在り方(YouTube動画)

[chat face=”kuma.png” name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]そこで今回は![/chat]
今回は、非認知能力=「向かう力」として、「もし、0~6歳で向かう力が伸びなかったら…」を考えます。

「向かう力」が足りないと、将来何が起こるのでしょうか?

小・中学校で…【児童期】

[chat face=”kuma.png” name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]「向かう力」が育たないまま小学生になると、どうなるでしょうか?[/chat]
「遊び」に向かう力が伸び悩むと、「学校生活」に向かう力も弱くなりがち。

国語・算数などの勉強でも、音楽・図工・家庭・体育のいわゆる実技系教科でも、少し不得意だと感じた時点で諦めてしまう、工夫しなくなってしまう、といった姿につながる可能性も。

普通に考えて、言うまでもないことです。

意欲的に、工夫・協力し、諦めずに遊び込める幼児

意欲的に、工夫・協力し、諦めず学習できる小学生

「向かう力」が発揮されるのは教科学習に限りません。人間関係にも大きく関わります。「向かう力」があまりに弱い場合は、クラスメイトや先生との関係に悪影響が生じることもあるでしょう。

[jin_icon_star]友人の悪意のない一言を好意的に捉えるため、諦めず考える。
[jin_icon_star]失礼のない表現を工夫して、授業内容について先生に尋ねる。

「向かう力」がないと、上記のような建設的な行動は困難。周りとの関係が発展していかないのです。

[chat face=”kuma.png” name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]前向きな行動は「向かう力」の賜物(たまもの)。[/chat]

前向きに行動できない人は、どうしても学校生活がつらくなります。もちろん、何も手を打たなければ、中学生になっても状況は改善しないでしょう。

国の法令でもハッキリ示されています。

(幼児期の向かう力が)小学校以降の生活や学習においても重要な自ら学ぶ意欲や自ら学ぶ力を養い、一人一人の資質・能力を育成することにつながっていくのである。
参照:幼稚園教育要領解説(文部科学省, 2018)

小中学生の学校生活は、0~6歳に発達した「向かう力」に支えられているんです。

目次

社会に出て…【青年期】

[chat face=”kuma.png” name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]高校生になり、社会に出る時期。「向かう力」が足りないと…[/chat]
この時期は別名、思春期。この段階での「向かう力」の弱さは重大なハンディキャップになります。

高校生になると、学習内容はかなり高度になりますよね。

さらに、大学・専門学校へ進学するとなれば、学ぶ内容を自ら決めて検証するという「研究」が生活の中心になります。「勉強が難しい」などと言っていられません。

その後は社会人として「仕事」をする生活に。「向かう力」の重みは増すばかりです。

「誰のためにどのような商品・サービスを作り届けるのか?」を地道に考え実践し続けるのが「仕事」。「向かう力」なしでは価値ある「仕事」などできません。


0~6歳で伸びる「向かう力」は学業成績・就労率・賃金にとって大きなプラスだと、ノーベル賞受賞者ヘックマン教授も述べています。
参照:幼児教育の経済学(東洋経済新報社, 2015)

[chat face=”kuma.png” name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]青年期と「向かう力」の関係について、まとめます。[/chat]

「研究」や「仕事」に取り組む青年期の若者に、「向かう力」は欠かせません。

「向かう力」がないというのは「指示がないと動けない」状態。それでは「研究」や「仕事」で成果を出すのは難しいです。場合によっては意味のない「自分探し」で何年もさまようことになるでしょう。

結婚して…【成人期前半】

[chat face=”kuma.png” name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]続いて、結婚生活と「向かう力」の関係。[/chat]
この時期、「向かう力」の不足はさらに深刻な事態をもたらすでしょう。

発達心理学では、青年期に「向かう力」がひとまず完成し、その「向かう力」が成人期前半に混ぜ合わされるのが望ましいとされます。
参照:エリク・H・エリクソン『幼児期と社会(1)』(みずず書房, 1977)

結婚とは、まさに「向かう力」を混ぜ合わせる生活の始まり。

「相手の人生の目的」と「自分の人生の目的」を、時にはお互い激しく主張しながらも愛情をもって受け入れ合い、統合する。そういう感覚ですね。

[chat face=”kuma.png” name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]ここで宝物のように輝きを増すのが、自分自身の「向かう力」。[/chat]

「向かう力」のおかげで、諦めず、工夫を重ね、相手の「向かう力」を受け入れられるんです。

0~6歳で身につける心の力が結婚生活を支える、と言ってもにわかに信じられませんが、これは動かしがたい事実。

前述のノーベル経済学者ヘックマンによれば、「向かう力」は意欲・長期的計画実行力・協働のための感情制御力などを含みます。

この能力によって結婚生活が充実するのは、疑いようのないことです。

子供が生まれて…【成人期後半】

[chat face=”kuma.png” name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]最後に、子育ての時期について。[/chat]
成人期後半・成人後期などと呼ばれるこの段階で、「向かう力」の不足は何を招くのでしょうか?

それは、停滞感。

「社会に置いていかれている」など、人生が滞っているように感じられ、気持ちが落ち込むことを指します。

[chat face=”kuma.png” name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]詳しく説明しますね。[/chat]

子供は元来「向かう力」の芽を持っていて、常にその力を使いたがっています。いつでも遊びたい気持ちで溢れている、ということです。

ただ、子供の心は未成熟ですから、「向かう力」を使うにも大人(親)の助けが欠かせません。子供を完全に放っておいたら満足には遊べませんよね。
[chat face=”kuma.png” name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]ここからが重要![/chat]

親が担う重要な仕事は、これ。
[box03 title=”親の重要な仕事”]子供のゴールを自分の問題として捉える。

子供と一緒に達成を目指す。[/box03]

これを繰り返すことでのみ、子供の「向かう力」は伸びるんです。向かう力の使い方自体を一緒に練習していくイメージです。
[chat face=”kuma.png” name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]「向かう力」の出番はここ。[/chat]

親自身の「向かう力」が弱いと、子供の「向かう力」の援助は非常に困難。

「希望をもって、意欲的に目的に向かう」のが苦手な人が相手の「希望をもって、意欲的に目的に向かう」行動を助けるなんて、なかなかできることではありません。

結果、子育てに充実を感じられず、「社会に置いていかれている」という悩みも深まる一方。

子育てがつらすぎるから「仕事」をする、という人が一定数いるのもうなずけます。

与えられた仕事なら、意欲を奮い立たせなくてもできますからね。

「向かう力」の欠如で苦しむ人が多いことは、このような何気ないつぶやきからも読み取れます。

(ツイッター, 匿名)

匿名の発信を共有するのは不適切かもしれませんが、「向かう力」の不足があまりに生々しく描かれていたので、お見せしました。

幼児期の心の発達が将来の子育てに影響するなんて意外ですが、実際に苦しむ人が日本中にたくさんいるんです。

(まとめ)もし非認知能力が伸びないと…

「向かう力」が足りないと、将来何が起こるのか?を考えました。
[chat face=”kuma.png” name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]わかったことを整理すると、こうなります。[/chat]

[box03 title=”「向かう力」が足りないと…”](小・中学生)
学校生活が苦手になる。

(高校生以降、社会人)
研究・仕事が苦手になる。

(結婚生活で)
ゴールを統合できない。

(子育て生活で)
人生に停滞を感じる。[/box03]

人間の心は「1+1=2」のように単純ではありませんから、ここで述べたことは「絶対にその通りになる」というものではありません。

しかし、0~6歳で育つ「向かう力」が人生全般を支えるのは間違いのないこと。ノーベル経済学者の研究を待つまでもありません。

「たかが園選びに、何を大袈裟な」と思うかもしれませんが、「保育の質」が国家の将来さえ左右する、という考え方はすでに世界のスタンダードになりつつあります。

大袈裟ではないんです。

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保育への公的支出の国際比較

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世界各国が保育のための公的支出を増やし続けているのは、「向かう力」が重視されている証拠と言えるでしょう。
参照:保育への公的支出の国際比較

たかが園選びと斜めに構えず、お子さんの「向かう力」(非認知能力)を伸ばせる環境を選んであげてください。

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