カレー幼稚園の大団円

風の朝。

美しかったイチョウの葉は

あっという間に 土に還ってしまった。

冬の行進が始まった 水曜日。

今日はカレー幼稚園。

いっぱい遊んで


カレーをいっぱい食べるのだ。


「お水は少しね、寒いからね」と 先生。


お水を少しにしたら

「はちみつケーキができたよ」

いいこと考えた 森さんたち。

森さんたちは

寒くても お庭で遊びたい。


山さんたちの ごっこ遊び。


自分たちで作ったものを遊びに加え

イメージ豊かに生活している。


作る 作る。

作る 作る。


遊ぶために作る。

先生は子どもと一心同体。

子どもの手の代わりになって 作る。


山さんたちは 積み木でも作る。


虫研究所を 立派にするために

知恵と力を出し合う。

大型積み木は重いので

慎重に力の限り 頑張るのだ。

発泡スチロールの

軽い積み木なんか使っていると


こんなに神経は 遣わないから

かえって危ないのだ。


山さんたちは 力いっぱい走る。

走ろうと頑張る。

でもこれは あんまり重すぎじゃない?

いくらなんでも。

ああ これなら何とかなりそう。

こんなに身体を使うから

感じたり考えたり するのだ。


いいことを 思いつき


もっとおもしろくしよう

もっともっと おもしろくしようと

一生けんめいな遊びが

そこここで 繰り広げられる幼稚園。

あ、いい匂いが漂ってきた!

カレーの匂いだ!


厨房では さっきから

お料理サークルのお母様たちが

子どもたちと同じように 一生けんめい。

うんとおいしいカレーを作ろうと

腕を振るっている。


できた できた おいしいカレー!


カレー屋さんが やってきた。

先月の 初めてで

そのおいしさが わかったから

食べようという気力が満ちあふれている 森の組。

一口食べて「おかわりある?」


「あるわよ」との会話だけ。


後は無言でほおばる 森さんたち。


だって おいしいんだもん。

おいしいお顔が いっぱい!

おいしい!

おいしい!

おいしい!

嬉しいカレー屋さん。


山さんたちも 待ちきれない。

すぐにお口に入れたい!


でも みんなに配られるまでがまん!

「いただきます!」

「うーん!」

「サイコー!」


「サイコー!」を始めたお兄さんは

もうとっくに 小学生なんだけれど


今も これが続いている。

大きい山さんたちも


「サイコー!」の他には 「おかわり!」だけ。

ただただ 無言で


カレーをほおばっている。

「サイコー!」と「おかわり!」。


山さんのカレー屋さんは

嬉しい 大忙し。



カレーにまつわるいろいろが

山さんには あって

今日はそのことにお友達みんなが

心を寄せていたのだけれど

大団円を告げて

めでたし めでたし。

カレーの味は お友達の味。

幼稚園の お母さんの味ーーー。