ありがとう 焼き芋幼稚園

火曜日の幼稚園の 朝の嬉しさ。

だって 焼き芋日和なんだもの。

朝の空気は冷たいけれど

お湯で洗えば 温かい。

ごしごし

ごしごし

ごしごし

ごしごし

子どもも大人も

まるで 冬のいろり端のように

打ち解けあって 楽しそうだ。

お芋くんたちには 磨きがかかり

まるで イノシシの子のウリボウのようだ。

お芋くんを ホイルで包む。

隙間なく 包まなければならない。

前回の時 焦げちゃっていたので

みんなよく覚えているのだ。

落ち葉を燃やす。

だんだん 炎が立ってくる。

炎を もっと大きく育てようとして

あおぐ あおぐ。

一生けんめい あおぐ あおぐ。

白い煙が立ち上がると思い出す まど・みちおの詩。

落ち葉がまだ

木の枝にくっついていた頃の思い出が

煙になって 立ち上がり

枝を作るのだ。

春夏秋と 子どもたちの遊びを見てきた

幼稚園の葉っぱたちには

きっと たくさんの思い出があるのだろう。

白い煙は 大きな枝を伸ばして

広がる 広がる。

みんなのお顔が「あついあつい」と言い出し

こんなふうになってくると

そろそろ お芋がおいしくなっている頃。

「いただきまーす!」

武藤農園で育ったお芋の

おいしいこと おいしいこと!

幼稚園で育った どっさりの落ち葉で

焼いたのだもの。

それに

子どももお母様も

みんなでお仕事して 作った焼き芋だもの。

格別のおいしさだ。

「あ、煙がお日様になった!」

次のお芋が 焼きあがる間

焚火の匂いの幼稚園で

いつもの遊びをするのも

何か特別で 新鮮だ。

この小さい幼稚園の子どもたちの遊びは 本気だ。

本気になって 熱心に取り組むのは

保育者たちが 本気・本真剣に生活しているからだ。

お互い同士が真剣なのだから

幼稚園中が 一生けんめいな空気に

満たされている。

そういう空気を感じ

お母様方も この空気を大切に

ご自分も 幼稚園の空気を作る一人なのだと

そういう心持ちで いてくださる。

なんとありがたいことだろうと

感謝の気持ちでいっぱいの

秋の名残の幼稚園ーーー。