幼稚園の御利益

コロナ禍で延び延びになっていた 豆まき。

今日は絶対やるのだ。

「鬼のお弁当 サイコー!」

お母さんのお弁当で力もりもり。

鬼をやっつけちゃうのだ。

あっ、やってきた!

まずは 森の組

卒園児ふたちゃん作の おもしろ鬼に

ごきげんな子どもたち。

「おにはーそと!」

「おにはーそと!」

ところがところが

なんとなく 心に恥じる所がある子どもの

雲行きが怪しくなってきた。

誰かの雲行きが 怪しくなってくると

そういえば 自分も

なんとなく後ろめたい所があるかもしれない と

不安になる子どもも。

怒ったり泣いたりして

ママを困らせたり

おしっこが面倒くさかったり…あら大変!

悪い鬼を追い出して

いい子にならなくては。

「おにはーそと!」

「おにはーそと!」

必死な子どもたちを

笑顔で見守る母。

わが子の奮闘に

ついついほころんでしまう 幸せな母たち。

次は 山の組。

大キライなウメボシを食べさせられ

「ウー!スッパイ!」

「おにはそとー!」

「おにはそとー!」

当たること当たること  すごい制球力!

あっ お友達が!

助けなくちゃ!

「おにはーそと!」

「おにはーそと!」

鬼も子どもも 大活躍。

すごい 瞬発力だ。

子どもたち がんばれ!

鬼さんに 負けるな!

鬼はきみこ先生だって わかっているのに

どうしてこんなに怖いんだろう。

夢中になるほど 怖くなる。

お話の世界に 入り込んでしまうからだ。

ほほえましい光景が広がる。

山さんたちのお部屋。

覗き見る母たちの

楽しそうだこと。

「おにはーそと!」

「おにはーそと!」

「おにはーそと!」

子どもの世界を生きる 我が子の力強さに

ほのぼのする母たち。

きみこ鬼が「怒らないいいお母さんのひとー」

「ハーイ!」

うそをついたバツに 金棒でポカリ。

御利益がありそうと 喜ぶ母たち。

遅延豆まきだったぶん

子にも母にも 霊験あらたかだったに違いないーーー。