幼稚園か保育所か~母と子と学生たちへ~

幼稚園は教育、保育所は保育。

そう思っている人は多いが

幼児の教育のことを“保育”という。

幼稚園の教諭も 保育所の保育士も

育てる者としての志は 同じなのだ。

保育士は 児童福祉施設である保育所の職員。

幼稚園教諭は 学校教育法上の学校の一つである

幼稚園の職員。

厚労省管轄と文科省管轄。

履修科目、単位数など 資格取得の違いはあれど

幼児の世界に生きようとする者たちに 違いはないはず。

ところが最近 幼稚園教諭の人気がない。

それはなぜか。

「アナログ感が強いから」

産んだり育てたりするのって

デジタルじゃできないものね。

それから

「教育実習が大変すぎる」

高階幼稚園の実習は中学生でもおもしろい。

大学生がどうして?と思うのだが、そういえば最近

「この園はやることが決まってないから 何していいかわからない」

と、泣かれ 驚いたのだっけ。

そして

「担任する自信がない」

モンスターペアレントの恐怖。

高階幼稚園の場合 モンスターは

子どもたちのごっこ遊びの世界にだけ存在するのだが。

「幼稚園より保育所の方が 一人で担任しなくていいから」

「ピアノ弾かなくていいから」

というわけで 幼児教育を学んだ学生たちが

一般企業又は保育所に 活路を見出すのだそう。

保育所のベテラン先生が 高階幼稚園を訪れるたびに

「ここは天国」とおっしゃる。

少人数で安心・安定したお子さんばかりだからだ。

保育所のお子さんは 当たり前に母の味が足りない。

心は不満で一杯で、安心・安定の反対だもの。

幼稚園から「こども園」に鞍替えした

幼保混合型の園に通わせている母たちも

「先生達も大変らしくて 子どもたちが落ち着かない」

「できればここに 転園させたい」

心から安心・安定した子どもたちの集団は

建設的になる。

心に不安・不満があり 不安定な子どもの集団は

建設的の反対だ。

建設的な子どもたちの保育は

昨日より今日、今日より明日と

充実が積み重なる。

お友達は大切な教育環境だ。

もちろん 担任も大切な教育環境。

自信がないなんて言わないで

自分を信じて やってみよう!

子どものお手本になろうと思うと 苦しいから

子どもと同じ方向を向いて

一生けんめい 心と身体を動かすのだ。

一生けんめいしていたら

いつの間にか知らずしらずに 子どもも自分も育つ。

今まで見えなかったものや 聞こえなかったことに

気づくようになる。

子どもと保育者の間に

切っても切れない絆が育つ。

そうなると味わえるようになる 保育の味。

味わった者にしかわからない味だ。

子どもたちの担任だからこそ 味わえる味なのだ。

担任はおもしろい。

こんなに毎日 何度も何度も

心から感動を味わえる仕事なんて

幼稚園の担任以外に

ないのではなかろうか ーーー。