自由な保育~幼児の将来を支えるもの

幼稚園の金曜日。

イチョウの黄葉は あらかた土に帰ってしまった。

忍者たちは 朝げいこ。

縄ばしごで木登りだ。

いったんもめんたちは

空飛びの練習。

一人登園したその時から

保育が始まる幼稚園の ドラマが

今日も 始まった。

作る子ども。

昨日作ったもので遊ぶ子ども。

ハサミは 必ず座って使い

使ったハサミを

所定の場所に しまう。

自由で主体的な生活の中、

それぞれが 充実するためには

一見不自由と思われることを きちんとしなければ。

生活を積み重ねて

だんだん成長してきた子どもたちは

今日の遊びについての計画を

自分たちの中に 持つようになる。

山さんたちが 紙芝居からヒントを得た

「いったんもめん」の劇ごっこが 今日もはじまった。

昔々のお話なのだ。

おじいさんにおむすびをこしらえてもらった お侍さん。

このお侍さんも

おじいさんと名残を惜しみ 旅に出る。

お城のお姫様たちの困り事。

昼間はやさしい いったんもめんが

夜になると大あばれ。

お侍さんたちの 活躍が始まる。

戦い疲れた いったんもめんたちに

おじいさんのおむすびを 振舞うと

そのおいしさで

みんないい子の いったんもめんに!

お姫様は喜んで めでたしめでたし。

というのが 基本のストーリー。

小さい人たちも 熱心に見入っている。

いったんもめんたちは

お疲れのご様子。

アンコールというので

ドレミの歌を。

昔のドレミも おもしろい!

大工仕事も 続いている。

力を合わせて お馬さんを作るのだ。

お花畑ステージが空いたので

森さんたちの♪ブレーメンが始まった。

このステージは 昔々トンネル山だった。

何十年も使って 古くなったので

平らにしたのだ。

昔園児、今園児の父母になった方々は

ご存じだ。

この子どもたちも いつか大人になる。

こんなに小さくて こんなにかわいくて

信じられないけれど ーーー。

幼稚園で味わった いろいろのこと。

落ち葉をたくさん集めて遊んだこと。

おいもを洗ったり

ホイルに包んだりしたこと。

落ち葉を焚いて 焼きいもを食べようと

お友達と一緒に

うちわで思いきり あおいだこと。

火の勢いにびっくりして

熱いあついと叫んだこと。

あおぎながら♪ひのこパチパチおこりんぼう と歌ったこと。

落ち葉の燃える音。

煙の匂い。

けむいけむいと 逃げたこと。

熱いと ほっぺがあかくなること。

煙に乗って 葉っぱが旅をすること ーーー。

この子どもたちが大人になった時、

幼稚園で経験した多くのことを

すっかり忘れてしまっているかもしれない。

煙のように消えて 見えなくなってしまっても

幼児期に味わったいろいろは

子どもの中に染み込んで

地下水になるのだ。

人生とは楽しいものだ という

揺るぎない確信となって

人生をうるおすに違いない。

きっと きっと ーーー。