手は心
朝寒の幼稚園に
ニット帽の花が咲き出した。
お母様の手作り人形で
身体も心も
あたたかい。
手は心。
子どもたちは
お母様の手から離れ、
仲間たちと
こうして仲良く
生活しているけれど
お母様の手のあたたかさが
いつも子どもたちを
支えている。
子どもたちの心が
不安や不満で一杯だったとしたら
こんなに和やかな園生活には
なりえない。
柔らかな心で
お友だちの要求を受け入れたり
受け入れてもらったりしながら
今日の充実に向かって
熱心に取り組むことなんて
きっとできないだろう。
よく動く
子どもたちの手。
誰に言われたわけでもないのに
その手を自由に使いこなすことが
自らの成長に
深くかかわっているということを
知っているのだ。
それはきっと
お母様との生活から
導き出されているのだろう。
高階幼稚園のお母様たちによる
手作りサークルは
子どもたちの遊びの生活を
もっと豊かにしようとして
自主的に運営されている。
というと少し堅苦しいけれど、
口も手も頭も
よく 動かして
楽しい!
お料理サークルより
後ろに隠れているけれど
自分たちの創造力が
子どもたちの心や身体を動かし
作品たちが
大切に使われることを考えると
充実感が溢れる。
世の中の
大切で最もおもしろいこと。
それはたいてい
何かの後ろにいて
隠れたことをするところにある。
母親という存在も
そうかもしれない。
私ども
保育者の仕事もそうだ。
自分がいるから
子どもたちがこんなに
生き生きしている、
そう実感できる おもしろさ。
そして
こんなごちそうが待っている。
「お山フロート、
森のどんぐりの味がするよ」
「心がホカホカする
おべんとうだよ」
こんなにおいしいごちそうを
食べられる場所が
他のどこにあるだろう。
手は心。
大人の手も
子どもの手も ―――。