ひと雨ごとに、とは言うけれど、
冷え冷えとした朝。
お勉強ごっこが続く
海の組。
今日は
「とうとうおわり おべんとう」の日だ。
登園直後から
もう熱中が始まっている。
学校ごっこは
国語なの?
次は?
音楽のようだ。
警察音楽隊だ。
この音楽隊は
海さんたちのお気に入りで、
長く続く遊びの一つだ。
カスタネットには
いろんな打ち方がある。
できるようになったアルペジオ打ち。
くぼみ打ちや
こぶし打ちも加えて
工夫が広がる。
曲調に合わせた楽器の音色も
気が利いている。
行進が始まる。
どこへ行くのか、
堂々として立派だこと。
あらら!
びっくりの池さんたち。
おじぎもして、
音楽隊のお仕事の
始まりだ。
池さんたちも一緒になって、
盛り上がる音楽隊。
歌も始まる。
警察音楽隊、
お仕事終了。
その後の池さんたち。
「今日は*ねぷた*じゃなかったね」。
池さんたちの遊びは
続く。
警察音楽隊の
お次のお仕事は
川の組。
指揮者交代。
曲は ♪天国と地獄♪。
すばらしい指揮者。
すばらしい演奏。
ああ、それなのに
耳をふさぐ川さんたち。
気持ちはわかるけれど…。
つい引き込まれて
指揮をしてしまう川さん。
警察音楽隊にごちそうしてくれる
川さん。
「このワニでだしをとると
おいしいですよ」。
おみやげまでありがとう、
川さんたち。
たくさん遊んで おなかがすいて、
いつものお弁当の時間。
*いつも*が、今日で最後になるのだ。
「いいものが入ってて よかったね」と
お友だち。
いいお友だちだ。
「お母さんに感謝を込めて
いただきます!」
「お母さんのお弁当、
何回食べたんだろう?」
と 子ども。
「ひよこさんからの人は
800回くらいかな」。
と きみこ先生。
じゃあ、ぼくは700回くらいかな。
あたしは600回。
400回の人もいるよね。
いっぱい食べたんだねぇ。
お母さんって すごいねぇ。
また食べたくなったら
お弁当持って幼稚園に来よう。
ぼくも!
あたしも!
お母さまのお弁当。
へこんだおなかだけでなく
へこんだ心が膨らんだ
小さかった頃。
お弁当を広げると、
その上を行ったり来たりした
お母さまの手が見えた。
お母さまを味わって
心も身体も満足した。
また いっしょうけんめい遊ぼう、
という心持ちになった。
子どもは心持ちに生きている。
学校へ行っても、
時々お弁当を作ってあげて。
そう願う、春は名のみの幼稚園―――。