小さい人たちの朝。
それぞれの朝。
三輪車で始まる子ども。
砂や土や水の
手触りから始まる子ども。
作りものから始まる子ども。
乗りものから始まる子ども。
昨日の続きの
ごっこ遊びから始まる子ども。
それぞれの一日が
今 始まった。
あら、
ぽけもん駅で いざこざか。
ああ、
お客さまの取りっこらしい。
ジャンケンしても、
どちらも
「ぼくの勝ち!」と言っている。
お客さまは
どちらが勝ったか わかったのか、
こちらの車両に乗り込んだ。
「たくさん乗ったら きっと乗り換えるわよ。
お友だちだもの」
と保育者。
あっ! 本当に!
なんていいお友だち!
小さい人たちが
こんなにいいお友だちに!
嬉しい保育者。
小さくたって
心が満足していれば
我慢もできる。
“自分が!自分が!”を
いつまでもやっている池さんは
もういない。
いつのまにか育ってきた。
川の組研究所の
きのこ博士たち。
「これ、こうきゅうなきのこなんだよ。
ママが教えてくれた」
「うん、知ってる。
いい匂いでおいしいんだよね」
「幼稚園に これ生えてくればいいのにね」
「これ、おみそ汁に入れると
おいしいんだよね」
研究所の時計は
9じ40ぷん。
川の組のお友だちも、
さっきから
熱中が始まっている。
子どもの手の代わりになって
それぞれの遊びを支える
保育者。
帰ってきた
きのこ博士たち。
まつたけやなめこの解説。
「あたしも大好き。なめこのおみそ汁!」
「しめじもおいしいよね」
「あたしも知ってる!
前に住んでたことあるもん、“ひめじ”!」
熱心に遊ぶ
子どもたち。
できないところは手伝う保育者。
池の組では
線路の遊びに変化が。
池さんたちには
運動会がどんなものか
よくわからないけれど、
お庭に飾る旗作りが
ずっと続いている。
海の組の熱中。
忍者の持ちもの、
乗りもの、
虫。
それぞれが
遊びに必要なものを作っている。
「前よりハサミが上手になった」と
子ども。
「そうだね。でも もっと上手になるように
がんばって」 とお友だち。
お友だちは いい。
「忍者だから“和とじ”にして」 と子ども。
本物らしさの追求。
年長さんらしくなってきたのだ。
どの人も夢中だ。
海さんたちの履きもの。
忍者用のが
増えてきた。
忍者のお兄さんの真似をして
負けん気の池さん。
お兄さんに褒められて
嬉しい池さん。
やっとできた!
がんばった川さんたちの
タッチ!
海の女児たちの
泥だんごの材料。
混ぜ方に興味がある
忍者たち。
修行する忍者たち。
今日は蒸し暑いため
忍者服は
ご法度なのだ。
あ、ワラジ完成!
静かな川のお部屋。
ああ、なるほど。
病人がいるのだ。
こちらも
静かにいっしょうけんめい。
ハチさんも
静かに蜜を飲む。
ツリーハウスの川さんたちは
お布団干しに忙しい。
池さんたちは
今日も
♪赤ずきん♪。
誰からともなく始まるのだ。
そして、
いつのまにか
役者が揃うところが
おもしろく、味わいがある。
心配そうなお母さん。
楽しそうな赤ずきん。
こんなに小さくても
それぞれがよく表現している。
幼稚園の日常が
こんなに心豊かで楽しいなんて、
幼稚園に入る前には
わからなかったことだ。
お友だちといるのが
こんなに楽しくなるなんて―――。
幼稚園の日常。
何もトクベツなことがないような、
幼稚園のいつも。
子どもは いつもがトクベツなのだ。
幼稚園のいつも も
お母さまとのいつも も、
子どもにとって
トクベツ嬉しいいつも なのだ。
いつもを豊かに生きられるよう、
大人たちよ、ガンバロウ―――!