ざくろのお日さま!
ひさしぶりに雨が落ちてこない
幼稚園の朝。
雨ばかりだったお庭のあちこちから、
きのこたちが
顔を出す。
きのこ博士たちの
収穫。
嬉しい
嬉しい
研究者たち。
こちらは
どんぐり博士か。
クヌギのどんぐりは
こんなに大きい。
雨ばかりで今年は不作だけれど、
見つけると
うんと嬉しい。
バッタ博士も。
「いっぺんに2本とった!」
“本”と言いたい気持ち、わかる!
ちょうちょ博士は
さっきから じっと動かない。
一人、また一人、
学校のお姉さん・お兄さんたちがやってくる。
幼稚園は
今日もトクベツな一日だ。
お庭で鬼ごっこは
ひさしぶり。
お姉さんたちと一緒は
楽しい。
お姉さんたちも
楽しい。
雨が落ちてこないから
三輪車にだって
乗れる。
嬉しい子ども。
三輪車だって
きっと嬉しい。
お姉さんたちと一緒に
ひさしぶりの“かたまり”・“おだんご”作り。
乾いた土を屋根下にとっておいて
よかったこと。
力持ちの池さん!
どっさりのおだんご。
「こんなに固くなった」
小さい忍者たち。
あっ
ジャンプ!
転ばなくなったのだ。
あっ、
忍者がたくさん!
お兄さんが相手をしてくれる。
がんばれ!
小さい忍者たち!
戦いごっこが始まる。
おお!
くのいちたちの強いこと!
飛び降りる くのいち。
ずり落ちる くのいち。
「つかまえた!」とちょうちょ博士。
捕獲したちょうちょと、
捕り方の説明。
うらやましいお友だち。
気前のいい ちょうちょ博士。
「あたしたちもとろうよ」
「あっ いた!」
「そーっと…。
あっ、逃げちゃった」
自然幼稚園は
おもしろい。
よく続く土博士たち。
理想の形・硬さになるまで続ける人。
いろいろ混ぜて試す人。
砂場にも博士たち。
外側から眺めると
たわいないことのように思える
いろいろが、
子どもの中身を
育てる。
自分で始めた
これらの遊びに手を貸し、
子どもが 今より一歩
前へ進めるようにするのが
保育者の仕事だ。
イメージを引き出したり、
広げたり、
見守ったり、
励ましたり―――。
豆だらけの 痛々しい手に宿る
充実感。
響き合う
池さんたち。
いっしょうけんめいは伝わる。
いっしょうけんめいが
いっしょうけんめいを呼ぶ。
幼稚園の そこここに
いっしょうけんめいな遊びが
繰り広げられ、
いっしょうけんめいが
いっしょうけんめいを集める。
子どもは
空気で育つ。
幼稚園中の空気が
一人ひとりのいっしょうけんめいで
いっぱいになり、
その空気が
大勢を育てるのだ。
一人ひとりが
お互いを育てるのだ―――。
子ども自身が主体的に
遊びに取り組むのが
保育の
出発点。
子どもの中から湧いてきたものを
大切に、
自己充実目指して
今日も前進―――!
おまけ。
だって、
玉入れごっこが
始まっちゃったんだもの。
カゴに入るよう考えて、
そのように身体を使うのって、
小さい幼児にとっては
難しいのだ。
さあ、もう一度!
狙って!
狙って
狙って!
小学生のお姉さんたちと一緒の
トクベツな一日は
続く―――。