春香る幼稚園。
山の組年長さんのお弁当は今日で終わる。
幼稚園選びのお母様がたに

一番嫌われるのが お弁当だ。
この便利な世の中に 何故お弁当?
いかにも面倒で気が進まないからと

園選びの対象外とされることが多い。

子どもが好きなのは

バリエーションに富んだお弁当などではなく

よそ行きでない

ママのお顔が見えるような いつものお弁当なのだ。

だから小さかった3歳の
あの初めてのお弁当の時

嬉しくて我慢できなくて
お昼を待てずに はやばやと
お弁当の時間にしたこともあったっけ。


大きくなって
時間を忘れるほど 打ち込んで遊んで

お腹が空いて くたびれて
お弁当を広げると
お弁当箱の上を行ったり来たりした
ママの手を感じるのだ。
ママの味を味わって
元気を取り戻し
また自分の力を使った遊びが始まる。


いつも思う。
母たちは お弁当に変身して
幼稚園に来ているのだ。

幼稚園の保育に加わっているのだと。


ずっと前 お弁当をひっくり返してしまった子どもが
「ママのお弁当が!ママのお弁当が!」と言って泣いた。
トレイの上だったからよかったけれど
母と子の 強い絆を感じたことだった。

たくさんの思い出を内包しながら
山の年長さんたちのお弁当が終了する。

我が子のお弁当を作った 初めてのあの日
まだまだ新米ママだった。
小さなお弁当が
母と子をこんなに繋いでくれるなんて

きっと 思ってもみなかっただろう。
そしてきっと
時がこんなに早く過ぎることに
胸を突かれていることだろう。
お母さん弁当の のれんを下ろす
春日和の幼稚園ーーー。



