おいしいカレー幼稚園

子どもたちが楽しみに待っていた

カレー幼稚園の朝。

カレー屋さんたちの


一生けんめいが 始まっている。

子どもたち一人ひとりの

一生けんめいも 始まっている。

一人やってきたその時から

保育が始まる幼稚園の

一人ひとりがだんだん集まって

お友達同士の遊びに広がっていく。


お庭でも お部屋でも。


森さんは 恒例のイス取り。

どうしてこんなに


おもしろくなっちゃったのか。

なぜだか お気に入りで

座れなくても泣いたりしない。


そして またやろうまたやろう と いつまでも続く。

みんな 根気があってすごい。


お庭には


そりに乗ったサンタクロースが!


こんなに大勢やってきた!

♪あかいぼうし


しろいおひげ

サンタクロースのおじいさん

こんばんは こんばんは

よいこはどこだと やってきた


幼稚園のよい子たちは

それぞれ プレゼントをいただき

嬉しそうだ。



砂場では 今日もお芋掘り。

出てきた 出てきた

大きな大きな おいも。


また埋めて また掘るのだ。


厨房からは

いい匂いが漂ってきた。

母たちの気合入り

一生けんめいカレーの完成だ!


香ばしい匂いは 森の組へ。


嬉しそうだこと。

「いただきます」


こんなに小さい人たちが


自分たちの作ったカレーを


小さなお手々でお口に運び


一生けんめい食べる姿は


カレー屋さんたちの胸を打つ。

おいしいから みんな無言だ。


ママの味ではない 幼稚園のカレーを

パクパク食べてくれる

カレー幼稚園初体験の

子どもの表情も

心に染みた カレー屋さんたち。


お次は 待ってた待ってた 山の組。

みんな なんて嬉しそう。


「いただきます!」


おいしいから やっぱり無言。


静かすぎる 山の組。


夢中で食べていて


伝統の「サイコー!」を忘れている。

あ、思い出した

「サイコー!」


そしてまた 静かに。


相当おいしいに違いない。

年長山さんたちは


何度目のカレー幼稚園だろう。

卒園まで


あと何回食べさせてあげられるのだろう。

そんなことを つい考えてしまう カレー屋さんたち。


たくさんお代わりして満足した午後。


子どもたちもレストランを始めた。

子どもたちの主体性と

母たちの主体性と

保育者たちの創造性が 響きあって


幼稚園の保育を豊かにしているのだ。


この 高階幼稚園は小さいけれど


子も母も保育者も育つ

めったにない 珍しい幼稚園なのだーーー。