目に見えない力を

                                        一人やってきた その時から


保育が始まる幼稚園の

月曜日の朝の お花畑ステージ。

誕生会の音楽劇

ぶんぶく茶釜をやりたくて

一人またひとりと集まってくる。

朝やってきたそのとたんに始める

劇ごっこのおもしろいこと。


♪ぶんぶく茶釜をしってるかい

ふしぎな茶釜のおはなしだ♪

ここはお寺。

ありがたいお経をあげる 和尚さん。

熱心に修行する 小僧さん。

茶釜に化けた狸は じっとして動かない。

小僧さんたちの次の修行は

本堂のお掃除だ。

熱心にお勤めする 小僧さんたち。

あれ?茶釜が変だ。

あっ 動いた!


あっ また動いた!

茶釜のおばけに違いない。

あっ 踊りだした!


やっつけよう!


やっつけよう!


ここはくずやさんのお家。

茶釜の狸が姿を現し

見世物小屋で一儲けしようという。


それはいい考えだと くずやさん。

さあさあ いらっしゃい いらっしゃい

世にも珍しい軽わざ

茶釜の狸の綱渡りでございます!

チャンチャン チャカチャカ チャンチャンチャーン!

お客様大喜び。

狸とくずやの大成功。

大団円の めでたしめでたし。


ああおもしろかった!で

お次はちょっと難しい♪カスタカチカチ。

大人たちは カスタネットは簡単な楽器と

きっと思っているだろうけれど

いろんな打ち方があって

やってみると大人でも難しい。

難しいから やってみたい。

難しいから おもしろい。

リズム遊びは

心も身体も 精一杯使う。

心は 脳にある。

楽しくおもしろく遊びながら

いつの間にか 知らずしらず

創造性が培われていくのだ。


おやおやお次は ♪花いちもんめ。

これも 誕生会のステージで盛り上がったものね。

大きい人も小さい人も

「ふるさとまとめて 花いちもんめ」

「0ちゃんとりたい 花いちもんめ」


「ジャンケンポン!」


「あいこでしょ!」

「かーってうれしい花いちもんめ」

「まけーてくやしい 花いちもんめ」


「ジャンケンポン!」

勝ったり負けたり おもしろい。

負けたり勝ったり おもしろい。



勝ちたい気持ち満々の子どもと


ひるまず立ち向かう子ども。


二人を見守るお友達。

軍配が上がると

悔しさをがまんし 負けを受け入れる子ども。


それを見守るお友達。


勝負のドラマは それぞれの味がある。

ただのジャンケンだが

一人ひとりの持ち味が出る。

そろそろいいかなと 上着を脱がせる。

担任の配慮も生きる。

小さい人には 勝ち負けはわからないし


説明もいらない。


そのうち ああそうかと自分で感じ考える。



幼稚園はおもしろい。

幼稚園は 砂場もおもしろい。

振替休日の小学生が 時々やってきて

遊びの指導をしてくれる。

こうしたら もっとおもしろいよと。


製作のお手伝いもしてくれる。

幼稚園の時 先生にしてもらったように

小さい人の手の代わりになって。


野球選手たちも

自ら感じ考え判断しながら 遊んでいる。

小さい人たちがやってくると

棒つきボールで ヒットを打たせてくれ


外野にボールを飛ばしている間に

ホームベースまで 一緒に走ってくれる。


先生にしてもらったように。

保育者たちや母たち

育てる者たちの 手が 心が

子どもたちの中身を

見えない力を 育てているのだ。

子も母も保育者も

お互い同士が教育環境なのだと

心底感じる

小春日和の幼稚園ーーー。