幼児教育の肝腎

晴れ渡る 火曜日。

山さんのお部屋ではもう

昨日の続きを 作り始めている。

それぞれ 遊ぶために作っているのだ。

ヨルノズクは ティッシュを入れて 立体に。

作りながらも 遊びのイメージが広がる。

まるで 出雲神話。

海の上に並んだワニザメの背を渡る うさぎ。

こちら側が隠岐の島 向こう側が因幡の国か。(因幡の白兎のお話)

砂場から聞こえる 鼻歌。

こんなにも安心して遊べるところに

幼稚園が なったのだ。

なんと嬉しいことだろう。

自分の思いを 形にするために

力を尽くす 子どもたち。

幼稚園の そこここで

子どもたちの熱中が 始まっている。

ワラジムシだって こんなにつかまえた。

タマゴを抱えた お母さんもいる。

お花畑ステージから聞こえてくる

リズミカルな曲。

忍者 ヒーロー ヒロインが

戦いのダンスを 繰り広げる。

大きい人も小さい人も 思いおもいの振り付けで

できる限りスタイリッシュに 見せたい。

お友達に手や足が当たらないように

神経を使っていて えらい。

小さい人が増えたので

戦いのダンスは

ちょっとゆっくりしたテンポの ダンスに。

小さい人が少なくなったので

またまた アップテンポの曲。

ご近所、ツリーハウスでも

曲に合わせ

くまちゃんと子どもが 踊っている。

幼稚園のお庭はおもしろい。

お空に広がる 緑。

強い日照にも負けない

ケヤキやクヌギやイチョウの葉が

子どもたちを 日差しから守ってくれている。

涼しい木陰で 思い切り

身体を動かして 遊べるのだ。

木登りもできるし

患者さんごっこだって

気持ちよくできる。

濃い木陰には

まん丸のハランの液果が隠れている。

♪アネモネ駅から汽車ポッポーと

飛行場まで走れるし

飛行機の翼になったりも できる。

体を動かすのは おもしろい。

おもしろくておもしろくて たまらない。

走り梅雨の季節だもの

雨が落ちてくる前に

お庭で思い切り 身体を動かしてほしい。

子どもたちの意欲を支えるのは

むくむくと広がる 自然幼稚園の緑と

むくむくと湧き出し

涸れることのない

保育者たちの親切心だ。

幼児教室の肝腎は「親切」。

親切は 深切。

深く切なることーーー。